なかなか気に入ってしまった。邦題が全くのカタカナというのがあまりにも芸がないんやが、これを「破滅への道」とか「地獄の1丁目」とか和訳してしまうとダメやし、内容から「おとっつあんはつらいよ」とかにしたら誰も見に来んやろし。難しいとこや。
1930年代のアメリカ。世はまさにギャングの時代。渡世の義理と人情で男たちが生きている時代やね。女の出る幕、なし!だから、お父さんの映画にできたのね。お父さん向けじゃないよ、テーマがお父さん。お父さんは辛いのよ、ねー。
ストーリーは簡単。意外と先が読める。ギャングのボス、ルーニー(ポール・ニューマン)は実の息子コナーよりもマイケル・サリバン(トム・ハンクス)を右腕として頼っていた。マイケルの子どもたちを孫のように可愛がるルーニー。コナーはマイケルに嫉妬と憎悪を感じるようになる。
ある夜、マイケルの息子が「殺人現場」を目撃したことから、父と子の逃避行が始まる。
ていねいに作られてます。きちんと映画を作ろうという監督の姿勢がうかがえます。こんなもんかな?という「えーかげんさ」がありません。すみずみまで心が行き届いてるという感じです。
監督は「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス。音楽も「アメリカン・・・」のトーマス・ニューマン。撮影も「アメリカン・・・」の人。ということで、なんとなく感じが似てます。
ただ、トム・ハンクスがギャングのわりには、あまりにも人格者然としてて悪そうなとこがない。ギャングやねんから、どっかに悪党っぽさがほしいよね。始めっから「いいお父さん」っぽいから、息子との旅の途中でだんだんと絆が深まるというムードに欠けた。
逆に息子の方が、オープニングの雪のシーンの冷たさがだんだんと溶けていくように、父親に対する気持ちが変わって行くという演技になってた。
ジュード・ロウの殺し屋はなんとも変わったキャラで、大きな存在感があった。最後はアルカポネの命令じゃなくて、自分の意地というか遺恨を晴らしに来たんやろね。そう感じさせる目つきがよかった。
ポール・ニューマン、ほんまにふけてしもたけど、やっぱり貫禄というヤツです。それらしく見えるし、バカな息子をやっぱりかばってしまう父親の弱さが出てました。トム・ハンクスに殺される時の「お前に殺されるんなら本望じゃ」みたいな、日本のヤクザもんにも出てきそうなセリフ。しぶ〜い!
ギャングものならこれでもかーっちゅうほど出てくるはずのマシンガンが、たった1丁しか登場しないというのも、ホントっぽくてよかったかも・・・。
|