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ここは独断と偏見による映画評のコーナーです。
映画館で見た映画だけにしぼってあります。
ネタばれもありますので、まだ見てない映画のレビューを読む時は気をつけてください。
☆は5つが最高です。

●●Movie No.70●●
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サウンド・オブ・サイレンス  ☆☆☆ 2002 Jun.
 1966年サイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」が全米ナンバーワンに輝いた。もともと生ギターだけの録音だったけど、バックにエレキっぽいのんを入れたほうが売れると思ったプロデューサーが、なんとボブ・ディランの「ライク・ア・ローリングストーン」の録音のために集まっていたバッキング・ミュージシャンたちをそのまま使って、やっつけ仕事で吹き込んだ。だから、曲のテンポが揺れてるのにあわせて、バックの演奏も早くなったり遅くなったりしてるのだ。
 その録音風景のドキュメンタリー映画・・・ではありません。

 だいたい、この邦題はおかしい!もともとが「Don't Say A Word(誰にもゆうなよ!)」で、この英語がむずかしいっちゅうんなら日本語の題名にせえよ!原題の英語を使わずに別の英語にする必要がどこにあるねん!それもだれでも知ってる有名な曲のタイトルつけたら、そういう曲の内容みたいな映画かな?って思うやん。

 マイケル・ダグラスがちっちゃい娘を誘拐されて、身代金のかわりに自分の患者からある数字を聞きだせ!と要求される。時間はたったの?えーっと、何時間や?なんせ、明日の5時まで!さあ、ダグラスさんは精神を病んでるという患者からその数字を聞きだせるのか?かわいい娘は無事救いだせるのか?そこへからんでくるNY市警の女性刑事はこの事件を解決できるのか?はたまた、この患者の過去は???
 原作がたぶんよくできてるんでしょう。なかなかノンストップなスリルとサスペンスでいい展開でした。いかにもマイケル・ダグラスがハマる役どころ。

 でもね、どうなってこうなってるんや?という謎解きの面白さに欠けるなあ。話が分かり安い。原作ではたっぷり時間をかけて語っていたかもしれない部分が、映画ではスイスイと話が進んでいっちゃったような印象。まあ、2時間弱でおさめるためにはシャーナイことやけどね。

 それにしても、骨折してるはずの奥さん、強すぎ!犯人を一撃でたおすとは。
 誘拐されたちっちゃい子、年の割に観察力と洞察力ありすぎ!かしこすぎてカワイくない。
 精神病をよそおっていたはずの患者の女、マイケルさんには5分で打ち解けて、べったりしゃーがって。あんた中年趣味かいな。
 犯人のはやトチリ。女が思い出した数字が「鏡文字」やったことぐらい、見てるこっちははよから気がついてたわい。

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●●Movie No.69●●
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パニック・ルーム  ☆☆☆☆ 2002 Jun.
 白浜のエネルギー科学館(やったかな?)にある「斜めになった部屋」みたいに、この部屋に入ると誰もがパニックを起こしてキーキー、キャーキャー騒ぐからパニック・ルームゆうんとちゃいまっせ。
 なにかパニックが起こったときに、ここへ逃げ込んだら安全よ!という部屋がパニック・ルームですねん。

 そういう危機管理万全の家に引っ越してきたジョディ・フォスターとその娘(ターミネーター2の子どもそっくりの女の子)。その引っ越し当日にドロボウが入る。キャアー!逃げろー!パニック・ルームがさっそく役に立った〜。

 そこから、マヌケな素人ドロボウ3人組とジョディ親子の「缶けり」が始まる。このスリルというかハラハラ感はかなりおもろい!鬼の見てない間にササーっと走って缶をけっとばす、あの感じ。逆に鬼になったときの、こっそり隠れてて、缶をけりに来たヤツをさそいこんでつかまえるあの感じ。監督のデビッド・フィンチャーは缶けりを知っているんかしら?アメリカにもあるんか〜?
 まあ最初っから終わりまで、デビッド・フィンチャーらしいカメラワークとダークな画面処理でぐいぐい引き込んでくれますわ。怖いとか恐いという感覚じゃなくて、なんか別やね、あのハラハラ感。

 ジョディさん、今回はめっちゃ強い母親でしたけど、冒頭シーンの閉所恐怖症はアっというまに治ったの?それと、あなた、あんなに胸、大きかった??
 ジョディの元ダンナさん役、えらいフケてまんなー。そら、そないフケとったら夫婦仲もアカンでしょう。
 ラストのフォレスト・ウィッテカーとジョディの長〜いアップシーン。あれはいったいどういう意味があったの?ひょっとして何か謎が隠されていたのか?と気になって気になって、寝られへんかったで。ほんま、あれはどういう表情やったん???? 

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●●Movie No.68●●
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スパイダーマン  ☆☆☆ 2002 May.
 結局はサー、めちゃくちゃアメコミファンじゃないかぎり、こういうコミックの映画化っていうのは「フツー」の映画のつもりで見に行くわけやん、ぼくらって。
 ところが、製作してる側は「あのスーパーヒーローを映画化するんだー!監督のボクもスパイダーマンの大ファンなのサ」ってノリで作ってるわけやん、あっちは。
 ここが「もひとつ」の原因なんやろなあ。

 古くはスーパーマン、バットマン、ずっこけタートルズ、それにXメン。こういうのはあっちの人らにとっては永遠のヒーローで、かなりの思い入れで作ってるし、見に行く客も「ついに映画化!実写で見たらどんなんだろー!」っていう期待感があるから、そこそこ映画もあたるんやろなあ。

 正直ゆうて、あのガールフレンドのぶさいくさには絶句!でもカナダ人のダグラスに言わせると「あの女の子もスパイダーマンをやったトビー・マグワイヤもコミックそのまんま!そっくりやねん!」って言いよる。
 ここやねん!ここが違うとこなのよ。

 日本で「鉄腕アトム」とか「鉄人28号」とか「サイボーグ009」を実写とCGで映画化して、さて映画としていかがなもんかな?ということなのよ。そーゆーことなのよ。

 ニューヨークを舞台にビュンビュン飛び回るスパイダーマンの青春ストーリー・・・ふつーの映画として見たら☆は三つですなあ。Xメンよりはよかったかな。

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●●Movie No.67●●
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突入せよ!あさま山荘事件   2002 May.
 普段なら絶対に見に行かないはずの邦画を、わざわざ見に行ったのは「あさま山荘事件」という忘れがたい事件を題材にしてることと、NHKの「プロジェクトX」で初めて知った事実があまりにも感動的だったことが理由。

 案の定、映画はまったくダメ映画でした。

 ドラマがない!全く感じられない!スカ!

 長野県警と東京からきた警視庁との「なわばり争い」的なケンカが、最後には犯人逮捕・人質救出のために、ついに分かりあい協力しあうようになる!とかいうドラマがない。

 クレーン車の操縦を買ってでた現地の建築会社の兄弟の勇気ある行動を描くドラマチックさがない。

 突入部隊の編成のために警視庁の機動隊と県警の「決死の志願者」を出すまでの苦しい決断のドラマもない。

 なにしろ淡々とドキュメンタリーのようでリアルさのない展開が続いて終わる。テレビの方がよっぽどよかった。金かえせ!という映画でした。

 唯一の救いというか、小さな星一個は「事件が解決して帰宅した佐々さんを待っていた奥さんがお湯で足を洗ってあげるシーン」のおかげ。これはなんともエロティックだった〜〜〜!愛を感じたね。

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●●Movie No.66●●
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E.T. 20周年アニバーサリー特別版  ☆☆☆ 2002 Apr.
 ちょうど映画館に着いたら「イマイセンセー!」って声かけられてドキっとしたら、元T中の女の子。カレシといっしょに来てたのだ。「なーんやー、センセー、おぼえてへんのぉ〜」とかゆわれたけど、顔は知ってるけど名前が・・・。名前を聞いてやっとハッキリと思い出せた。ええ娘さんになって、感激やー。へんなネーチャンになってたらガクーっときてるとこやった。この子が今年ハタチ!!

 この子らが生まれた年に「E.T.」が封切られたのだ。当時見たもんにとっては20年もたったとは考えられん。今日の昼にテレビでこの映画の特番やってて、メイキングとか見れたんやけど、スピルバーグも若いーーーっ!そう思ったらやっぱり20年たったんやー。ほんま月日の経つのは早いもんや。

 でも20年たとうが、何年たとうが、やっぱりええもんはええ。心にジーンとくる。
 細かいところでは「やっぱり子ども向けやなあー」というところもあるけど、そういうことは「子ども向け」やからカメヘン!こうもりがさはパラボラアンテナの代用品にはなれんとかグチャグチャゆわんでもええ。80年代の「荒れた」雰囲気も今となっては懐かしの80年代!という感じやけど、それもカメヘン!カットされてたけど今回復活したシーンがどこか?なんてことも、この際どーでもええ。ドリュー・バリバリはちっちゃいときのほうが可愛かったとか、ちっちゃいときからしゃべるときは口がいがんでたとか、カメヘンカメヘン!

 いつ見ても、何回見ても、心がホっとする映画ゆうのは、ほんまに貴重でっせ、今の御時世。

 しかし、子ども向けの映画には「銃」は不適当だ!というスピルバーグの考え方から、ライフルを持ってたおっさんらが、全部ライフルの代わりにトランシーバーを持たされとった(CG処理)のは不自然やった。アメリカではそういうもんかもしらんけど、日本じゃあライフル持ってるぐらいカメヘンと思うんやけどなあ。あない全員がトランシーバー持ってて、いったい誰と交信するんや??う〜ん、不自然やったー。

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●●Movie No.65●●
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コラテラル・ダメージ  ☆☆☆ 2002 Apr.
 ひさしぶりのシュワちゃん大活躍のアクションもの。テロ関係の内容だから、9.11事件のおかげで上映延期になってた映画。

 ロスで爆弾テロがあって、シュワちゃんの奥さんと子どもが巻き添えになって死んじゃう。このときのテロ犯が白バイ警官で、ターミネーターでおなじみの衣装で悪モノが登場するとこはちょっとしたお遊び??シュワ映画ファンならニヤリというシーン。
 ところが相手国コロンビアとの外交への影響をおそれた政府は、テロ犯追求に積極的ではない。これは大義のためには耐え忍ぶべき代償だ(コラテラル・ダメージの意味)。
 これにはガマンできんシュワちゃん、単身コロンビアに乗り込んで・・・という設定。例によって、絶対に死なないことを前提にシュワちゃんの無茶な冒険が始まる。50を過ぎても元気やねえー。感心するわ。
 しかし、ゲリラの本拠地に行ってみて、テロ犯も自分の子どもをアメリカに殺されてたことを知る。自分の大切な人を殺された悲しみは、テロ犯もシュワちゃんも同じじゃないのか?アメリカ人は正義で、相手は悪だとは言い切れないんじゃないの?このへんがあるから、公開延期になったのかな?あのテロ事件直後にこういうこと言うと「袋だたき」状態だったでしょうね。それこそ非国民!っていわれたよ。

 「ブラックホーク・ダウン」よりも、そのへんの「正義」に対するメッセージは分かりやすいんやけど、結局最後はシュワちゃんの活躍でテロ犯をやっつけちゃう。なーんや、結局は正義は我にありかいな。
 それと、お得意のアクションシーンも「食べ飽きた」感じ。そろそろ、アクション映画もマンネリになってきたで。「マトリックス」のレベルを完全に超えるようなもんを作らんとハリウッドもしんどいぞ。

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●●Movie No.64●●
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光の旅人 K-PAX  ☆☆☆ 2002 Apr.
 変人俳優?ケビン・スペイシーが異星人(K-PAX星人)役で登場。ニューヨークのセントラルステーションに突然現れたとたん精神病院へ入れられちゃうんだけど、精神科医ジェフ・ブリッジスは「ひょっとして、ほんものの宇宙人??」と信じ始める。専門家でも知らないような宇宙の知識をスラスラ言いよるし、病院の患者たちを不思議な話術で治していっちゃうし。
 見てる方も「う〜ん、これはほんものの宇宙人なのか?」と信じ始めたころ、5年前のある事件のことが浮かび上がってきて、やっぱりただの人間??というふうな展開に。

 終わり方が本当に「宇宙人か人間か」の結論を出さずに不思議な感じなのがいい!

 「地球最大の決戦」で水野久美が金星人にのりうつられたように、ただの人間がある事件の後K-PAX星人にのりうつられたんでしょう、きっと。そういう意味では「ウルトラQ」に近いかもね。全体の語り口が「フェノミナン」のようで、なんとなく心がいやされる映画でした。

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●●Movie No.63●●
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ビューティフル・マインド  ☆☆☆ 2002 Apr.
 本年度アカデミー作品賞をゲットした映画。
 いったいどんな素晴らしい理論をつくり出したんかは分からずじまいだったけど、なんせ偉い数学者さんのお話。天才っちゅうのはナントカと紙一重っちゅうけど、このナッシュさんもそういう人の一人やったんやね。なかなか周りには認めてもらえないのよ。へんな幻覚に悩まされて、ほとんど「人格破たん」やねんけど、奥さんの愛のおかげでなんとかかんとか立ち直るというストーリー。

 ラッセル・クロウはすごい!うまい!自閉傾向のあるナッシュをほんまにうまく演じていた。しかし、あの老け顔で「大学院生」ゆうのは無理があった。なんぼ髪の毛を当時の若者風にしてもやっぱ他の大学院生と比べたら「アンタだけオッサンやん」ってバレちゃう。

 突然、スパイの話になってサスペンス風の緊張感がただよい始めて映画はどんどん盛り上がる。エド・ハリスの役柄がめっちゃリアル!!ドキドキ!!
 しかーし!!!病的にオカシクなっていくナッシュに対して、奥さんが、感動する程の献身的な愛情を見せたか?というとかなり疑問が残る。見てる方はそこを期待してたわけよ。ところが、ベッドでセックスを拒まれたりして「ウオー」って泣き叫ぶぐらいで、ナッシュに対して「そこまでやるか!奥さん、あんたはエライ!」っちゅうほどのシーンがなかった。
 だから、最後の、プリンストン大学で、バカにされ続けてたけど、ついに他の学生たちに認められるようになるっちゅうとこでも「あ〜、ほんまによかったなあ、奥さん。ほんまにあんたのおかげやでー。よう、がんばったなあ〜。」という気持ちにならないのだ。
 ノーベル賞受賞式でのナッシュさんのスピーチには涙出ますが、もっと泣きたかったのに〜というのが正直なところです。

 ☆が三つあるのは、音楽がええ!ということで、一つはオマケです。

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●●Movie No.62●●
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ブラックホーク・ダウン  ☆☆ 2002 Apr.
 巷では「世界の警察・アメリカの他国への正義の押し付けによる軍事介入等に対する警鐘をならす映画」とかゆう噂。映画評論なんかでも「アフガンへの空爆が続く中、リドリー・スコットはアメリカの良識を見せた」とかゆうて持ち上げてる映画。予告とかでも「ただの?戦争映画じゃない!」みたいなことゆうてるし、アメリカにとっての他国での戦争の意味とは!っちゅうようなたいそうなテーマをうったえてくる!みたいなことになってる。

 果たして、その実体は・・・!

 140分ぐらいあるなかの95パーセントは戦闘シーン。それも市街地でのソマリア民兵対アメリカのデルタフォースとレンジャー部隊。アクションのおもしろさで見せるのか?と思いきや、さにあらず。
 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!
 ドカーンドカーンドカーンドカーンドカーンドカーンドカーン!
 ダダダダダダダ、ババババババババババババババ、ダダダダダ!
 こればっかり!

 ほんまにテッポ撃って撃って撃ちまくって、爆弾はれつしまくって、いっぱい死にまくって、血だらけになりまくって、この映画のテーマはとか、アメリカの正義とはとか、そんなもん考えてるヒマあらへん。
 テッポと爆弾の音でだんだん頭いたくなってくるし、悲惨に死んでいくのはなぜかアメリカ兵ばっかりやし、なんにも訴えるもんない。戦争って、やかましいんやなーという感じ。

 結局、「パールハーバー」作ったジェリー・ブラッカイマーが「戦争映画ってオモロイやん。もういっこ、作ったろー。パールハーバーは古い戦争やったから、今度は新しい戦争で行こう」ゆうノリで巨額の制作費で遊んでみただけなのだ。

 発見したことは「最近の戦争映画には必ずジミヘンの曲が使われる」という法則があるってことぐらい。

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●●Movie No.61●●
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ロード・オブ・ザ・リング 1  ☆☆☆☆★ 2002 Mar.
 「指輪物語」といえば、大学時代にゼミで「英国ファンタジー」をやってたボクのこっちゃから、しゃべらせたらナンボでもウンチクを語りだすとこやけど、この映画はそういうウンチク野郎には絶対見せたくない映画。たぶん、知った顔して登場人物なり背景について語りだして、原作と比べてどうのとかグチャグチャ止まらんやろ。

 しかし、この映画は「アクション・エンタテイメント映画」として完全に成り立っている。おもしろい!引き込まれる!目を見張るシーンの連続!それでいてドラマがしっかりしているからストーリーの破たんもない。

 まだまだ旅は始まったばかりやけど、『一応の』エンディングで涙ながしてしまいました。ガンダルフの突然の死と仲間達の悲しみ、そして友情。あの後どうなるか知ってるけど、やっぱりグっときちゃうよね。「中途半端やん」っていう声も聞こえてくるけど、そんな生半可な旅じゃないのよ、これって。続きが楽しみってやつですがな。

 時々「猿の惑星」か?って思うシーンもあったけど、映像的にも十分楽しめたし、3時間なんて苦にならなかった。いや〜、スケール大きいっちゅうのはこういう映画のことを言うんでしょうなあ、ポッターくん。

 エルフのエルロンドを「マトリックス」の悪ものエージェントが演じてたのはボク的には大笑いやった。同じ顔して、今度はええもんやもんなあ。正義の魔法使いガンダルフも実は「X-メン」の悪もんやがな。裏切りサルマンはやっぱり?クリストファー・リーさんですか。なるほど、なるほど。

 「ネバーエンディング・ストーリー」を超えてしまったファンタジー映画!必見です!

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