14
ここは独断と偏見による映画評のコーナーです。
映画館で見た映画だけにしぼってあります。
ネタばれもありますので、まだ見てない映画のレビューを読む時は気をつけてください。
☆は5つが最高です。

●●Movie No.140●●
a
21グラム ☆☆ 2004 May.
 くっらーっ。ホンマに暗い。手持ちカメラでゆらゆらしながら撮った粒子の荒いきたないーいトーンでさらに暗い。人が死んだら体重がなぜか21グラムだけ軽くなるそうなんですが、それがタイトル。
 ってことは・・・誰かが死ぬんやなー、って思ってたらいっぱい死ぬ。イヤなお話ー。

 だいたい、この監督、凝ってるのかイジワルなんか知らんけど、時間の流れのベクトルをバラバラにちょんぎって、そのバラバラを順番ぐちゃぐちゃにして入れ替えてならべてるから、分かりにくいー。
 だから、半分ぐらいまでは「これはいつの話や?」「これは誰や?」「このシーンはさっきのシーンとつながってるんか〜?」と真剣に頭の中で見えてるシーンを組み立てていかなアカン。
 ところが、半分すぎたころから、バラバラのシーンが段々と順序立てて見えてくるのでラストシーンももう分かっちゃう。ははーん、最後にはこうなるんやーって分かっちゃう。←策に溺れたかー!

 で・・・、ショーン・ペン。いい感じだねー。
 ナオミ・ワッツ。いい演技なんだろうけど、あのセリフを日本語でしゃべられたらどんな女優がやってもクサいと思うなあ。ここが英語でしゃべってるヤツの得チンなとこや。演技うまいように見えるもんなあ。
 ベニチオ・デルトロ。映画俳優に見えないぐらいのボロボロづたづたなキャラがめっちゃ似合う。この人以外では出来んのとちゃう?こんな汚れた役。逆にスゴイかも・・・。

 はっきりゆうて、見終わった後、うへ〜っていう悲しい気持ちになるので「映画は娯楽じゃ!」と思っているボクみたいな人は見に行くと損したーって思うでしょう、きっと。

a
a

●●Movie No.139●●
a
スクール・オブ・ロック ☆☆☆☆☆ 2004 Apr.
 参った!星5つ!こんなにシアワセな気分にさせてくれてありがとー。

 これはもうツボでしょう。70年代ロック少年だった人にはたまりましぇん。文句ないでしゅ。単に「あのヒット曲が聞ける」なんていう生易しいもんではありましぇん。
 あの頃、想い描いていたロックにかける夢が、ほんまに純粋に描かれてて、そうやねん、そうやねん、ロックってそれやねん。だから、オレら、まだロックやってんねん〜!という共感とも悲鳴ともつかない雄叫びをあげてしまいそうです。

 いろんなとこに当時のロックへのオマージュというか、パロディというか、ギャグというかがいっぱいで、笑いが止まりませんが、それと同時にじんわり涙が出ちゃいましゅ。これはおさえきれません。号泣じゃなく、うれし涙というか、じわーっときいたワサビというか、絶対、泣いちゃいましゅ。

 ロックをやり始めた頃の純粋さ??が戻ったようで、泉たまのライブが無性にやりたくなりました。
 メンバーども!今すぐ見に行け!!見たら絶対ライブやりたくなるど!

 そうそう、70年代ロックを知らなくても十分楽しめますから安心してくださいね。←一緒に行った子がゆってましたから。

a
a

●●Movie No.138●●
a
コールド・マウンテン ☆☆★ 2004 Apr.
 うわー、こんな古典的なメロドラマかいなー。とほほー。

 時は南北戦争が勃発しそうなノース・キャロライナ。教会を建てる大工さんのジュード・ロウと、その教会の牧師さん(ドナルド・サザーランド)の一人娘のニコール・キッドマンがお互いに一目惚れ。戦地に向かうというその日、二人は初めてチュウしちゃうけど離ればなれに。
 お互い、もう一度会える日を夢見て辛い日々を送るうちに、ジュード・ロウは脱走して故郷のコールド・マウンテンを目指す。ニコール・キッドマンもただひたすら彼氏を待つ。

 こーゆー感じの映画です。もう、ラストはミエミエでしょ?

 なんせ、時代が戦争で、男どもは喜んで?戦争に行くけど、待ってる女はどーなんねん!戦争は誰も(女も男も)幸せにはしてくれないんです。

 しかし、レニー・ゼルウェガーはいい!ストーリー的にいきなり現れるから変やけど、セリフのほとんどがどなってるというキャラで、でも、ちょっと女の子になる瞬間もあって、好感度抜群。くちびるがいいです。

a
a

●●Movie No.137●●
a
ペイチェック 消された記憶 ☆☆☆ 2004 Mar.
 ジョン・ウーの三種の神器(銃を相手に向け合うガン・ファイト+鳩+わざとらしいスローモーション)が健在!ぜーんぜん期待してなかったけど、ジョン・ウー監督らしくてよかった。

 原作が「マイノリティ・リポート」のフィリップ・ディックで近未来調のSFのはずが、ややこしい設定とか近未来的な描写はやーんぴ!とばかりに無理やり取って付けたようなアクションで押し通す!そうそう、これでよろしい。

 むっちゃコンピューターに強いベン・アフレックはハイテクの極秘仕事をやった後、その間の記憶を消されるかわりに巨額の報酬をいただくという仕事?をしてる。似合わんなー。そんなに賢そうじゃないって。けど、今回の仕事をして受け取ったのがガラクタの入った封筒だけ!なんでじゃー!という謎解きがおもろい。ガラクタ一つ一つにそれなりの(無理矢理の)意味があるのじゃ。海賊ガラクータも呆れかえるコジツケ!
 そこに絡むベンの恋人がユマ・サーマン。「キル・ビル」じゃー!アクションもがんばってるー!投げたヘルメットでワルモンをノックアウトするシーンはめっちゃウケた!

 傑作なお笑いシーンあり、ド派手アクションあり、キャーというカーチェイス(マトリックスもびっくり)もあり、なんでそんなとこから?の鳩もあり、ドンパチ撃ち合いもありで、楽しい楽しい映画です。

a
a

●●Movie No.136●●
a
レジェンド・オブ・メキシコ〜デスペラード〜 ☆☆ 2004 Mar.
 うーむ、これはマカロニ・ウエスタンかい?時代も設定も違うけど、あのマカロニ・ウエスタンのチープな感じが漂っておるわい。

 ギターを抱えた流れ者の凄腕ガンマン。悪行の限りをつくす大金持ちの悪者。その悪者のしっぽをつかまえようと執拗に追う保安官。我らがガンマンはその昔、その悪者に自分の妻と子どもを殺されている。そこで、保安官はガンマンに悪者退治に協力するよう頼む。しかし、ついに保安官は悪者軍団にやられちゃう。そこでとうとう立ち上がるガンマン。ラストはガンマン対悪者の対決!ガンマンは仇を討つ事ができるのか〜!という構図。

 かっこいいガンマンにアントニオ猪木バンデラス。保安官が(なぜかCIA?)のジョニー・デップ。悪者がスパイダーマンでも悪者だったウィレム・デフォー。悪者の用心棒だけど実は足を洗いたがっているのがミッキー・ローク(←お久しぶり)。なかなかいいでしょ?

 おまけみたいに出てくる女二人(ガンマンの昔の女と、悪者の女)は付けたしみたいで期待したほど重要でもなかった。エヴァ・メンデスは「ワイルド・スピード」「トレーニング・デイ」に出てた肉体派。いかにもマカロニ・ウエスタンにも登場しそうなボディがこれまたチープでよかったです。

a
a

●●Movie No.135●●
a
マスター・アンド・コマンダー ☆☆☆ 2004 Mar.
 アカデミーの発表の前に見に行ったけど、これはオスカー取れるような映画じゃないでしょう。原作は全20巻もあるような長編海洋冒険物語だそうで、一つ一つのエピソードの積み重ねで全体としての面白さを醸し出してる・・・というような感じなんでしょうね。だから、このアケロン号との戦いを描いたエピソードなんて、その膨大な冒険話のなかの一つなわけです。
 ゆうてみれば、スター・トレックみたいに膨大なエピソードがテレビでオン・エアされていて、その番外編みたいな映画版ができて、その映画はテレビシリーズの延長なわけで、見てる方もそのノリで見てるから、そんなにすごい映画じゃなくてもいいわけ。
 だから、この映画も少年兵士たちの成長ぶりの一瞬しか描けてなくても、オーブリー艦長のキャラの一部分しか描けてなくても、まあ、そーゆー映画なわけ。

 その程度なんだと思って見たとしても、オープニングの突然襲われるシーンとか、どうやって敵の背後にまわるかとか、どうやって火力で劣るサプライズ号がアケロン号をやっつけるかとか、至近距離での大砲の撃ち合いとか、わくわくする海の冒険の迫力は伝わって来ます!男の子向けという感じ。

 ところが、さっきもゆうた少年兵士(可愛い男の子いっぱい!)の成長というところでは、かなりシンドイ。
 どっちかに絞ってスポットあてて映画を作るべきやったね。中途半端。

a
a

●●Movie No.134●●
a
ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 ☆☆☆ 2004 Feb.
 ついに完結!3時間23分!怒濤の戦いと殺戮場面の連続!しかし、そればっかり!あー、しんど!

 結末は分かってるわけです、こっちは。フロドは滅びの山に指輪を捨てるのです。そしてサウロンはやっつけられるわけです。こっちが勝つのです。分かってるんです。それをどう見せるか!!ここです、この映画の意義は。

 1では、中つ国を見事に映像化し、旅の仲間たちをうまく結びつけながら話が進んで、アっという間の3時間。
 2では、これでもか!というエキストラとCGで大迫力の戦いのシーンを描いて、ゴラム(ゴクリ)を生き生きと映像化、次作に大いに期待をもたせた。

 しかし、今回はちょっともうお腹いっぱい状態。出るわ、出るわ。ベレンノールの戦いでは20万の軍隊ですか〜?ここまで多かったらもう見てられへん。数で勝負せんでもええやろ。イカついゾウまで出て来て、これは「スター・ウォーズ」の惑星ホスの戦闘のパクリじゃん!

 だいたい、フロドが弱すぎる。こんな頼りないヤツに感情移入はできん。主人公ならもうちょっとしっかりしてくれにゃあ。サムの方が偉い。
 白い魔法使いになったガンダルフも弱すぎる。魔法の杖でエイヤッて敵をやっつけてくれなきゃあ、見てるこっちが「老人なのに可愛そう・・・」って同情しちゃうよ。
 あこがれのアルウェン、やっぱり顔が長過ぎー!

 「おおっ!」と思ったのは、エンディングでアラゴルンが王になった式典で、娘のアルウェンを嫁に出す父親エルロンドの表情。これには参った。この映画で唯一の「演技」をした役者がマトリックスのエージェント・スミスだったとは!

a
a

●●Movie No.133●●
a
ニューオリンズ・トライアル ☆☆☆★ 2004 Feb.
 法廷ものは大好きー。

 ご主人を銃で殺された奥さんが「銃メーカー」を訴えるという裁判。今回の弁護士はダスティン・ホフマン。それに対して、陪審員をコーディネートするという、ほんまにこんな仕事あるんかいなと日本では考えられないコーディネーターにジーン・ハックマン。銃メーカーに不利な評決をしそうな陪審員たちを拒否したり。陪審員の弱みを握って脅迫や買収をしたりと、やりたい放題。これじゃあ、陪審員制度の意味ないじゃん!っていうか、案外、アメリカ国民は陪審員なんかに選ばれるのはウザイと思ってるような感じもするが・・・。

 その陪審員の中に謎?の男、ジョン・キューザック。そして、その相棒?レイチェル・ワイズ。なんとこの二人、陪審員の内側に入り込んで「評決」を自由にあやつれるっちゅうんで、この「陪審員の評決」をいくらで買う?と両サイドにもちかける。

 ほほー!ジーン・ハックマンのさらに上を行く悪者っちゅうことやね。一方、ダスティン・ホフマンは最後まで正義とルールをきちんと守る、めっちゃいい人間。どうしてこの二人(ジョン&レイチェル)がそんなことをするようになったのかという動機がまた考えさせられる。

 「ボーリング・フォー・コロンバイン」みたいなやり方もあるけど、こういうキチンとした正攻法で「銃社会の矛盾」をついた映画は珍しいね。なかなかヘビーでありつつ、グイグイ引っ張ってサスペンス感もいっぱいの映画でした。

a
a

●●Movie No.132●●
a
シー・ビスケット ☆☆☆ 2004 Jan.
 全米が泣いた!勇気と感動の実話!とかコピーうたれると、ちょっと引いちゃうけど、まあそーいうんなら泣かせてもらいましょーかと見に行った。

 東武から西武へヘッドハンティングされた、じゃなかった、東部から西部へ出て来た自転車職人のジェフ・ブリッジスはひょんなことから自動車ディーラーとなって大金持ちに。
 西部の大平原では野生の馬をサラブレッドに育て上げる調教師のクリス・クーパー。
 世はまさに大恐慌時代に突入。口減らしのために両親に見捨てられ草競馬の興行師に売られてしまったトビー・マグワイヤ。

 この三人がシー・ビスケットという競走馬に絡んで劇的な人生を切り開いて行く!感動〜!と言いたいところだが、(見に行くつもりの人ごめん)あまりにもうまいこと運びすぎるストーリー展開と、ちょっとがんばったら何でもできちゃう安易な設定がどうも興ざめ・・・。
 それと、未来に向かってーとか、一度や二度の失敗であきらめるなーとか、安っぽい道徳の授業みたいなとこもあったりしてガクっ。
 さらに納得出来ないのは最後の再起をかけたレースは「八百長じゃん!」って仕掛けがあったりして、んなアホなー。

 大草原を駆けるお馬さんたちの毛並みの美しさと、ウイリアム・メイシーの競馬DJのがんばりに☆三つです。

a
a

●●Movie No.131●●
a
ミスティック・リバー ☆☆☆ 2004 Jan.
 クリント・イーストウッドが監督だ!主演の3人(ティム・ロビンス、ショーン・ペン、ケビン・ベーコン)がこれまたすごい!アカデミー賞候補ってか!ってんで、意気込んで見に行った。

 う〜ん、ホントに3人はいい。子どものときに誘拐され性的虐待を受けたテイム・ロビンス。自分の娘を殺されて、その犯人を殺してやる!と鬼気迫るショーン・ペン。その殺人事件を追うケビン・ベーコン。うまいこと作ってある話や。

 ところが(せっかく見に行こうと思ってる人、ゴメン)、容疑者・父親・刑事という人物関係が絶妙な割には、必要のないエピソードが挿入されたり、いらんウラ設定だったり、まわりの家族がいやにでしゃばってきたり、妙にドラマチックに懐古趣味的になってるとこがある。
 一瞬、犯罪モノの「スタンド・バイ・ミー」か〜?って感じでいいじゃんと思ったけど、ちょっと嫌みなとこあったなー。

 でも、若者向けというか、子ども向けというか、落ち着かない映画が多い中、大人向けに作られた映画って感じです。じっくり3人の演技を鑑賞してください。イーストウッドが曲も書いて音楽やってます。

a
a

List Pageへもどる

Topへもどる