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ここは独断と偏見による映画評のコーナーです。
映画館で見た映画だけにしぼってあります。
ネタばれもありますので、まだ見てない映画のレビューを読む時は気をつけてください。
☆は5つが最高です。

●●Movie No.100●●
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ボウリング・フォー・コロンバイン Bowling for Columbine  ☆☆ 2003 Apr.
 例えば、スカパーのCNNチャンネルをつけてみたら、何かのドキュメンタリーをやってたとする。なんやろ?と思って、しばらく見てたら、それが何年か前の「コロンバイン高校であった銃乱射事件」のことやったとする。へー、こんなこと、あったなぁ〜と思って、しばらく見てるでしょう。あの高校生二人は事件を起こす直前にボウリングして遊んでたんかーとか思うでしょう。
 でも、CMが入ったり、他のチャンネルで違う映画とかやってたら、ヤンピしてそっちを見るでしょう、きっと。

 ところが、わざわざナンバまで出て来て、わざわざ入場料(映画の日で¥1000でも)払ったし、席に座っちゃったから途中で見るのんヤンピして出られへんじゃん。その程度でしたネ。

 カンヌ国際映画祭でデビッド・リンチが絶賛して20分もスタンディング・オベイションが続いて、ついに特別賞をあげた!というウソみたいな話があるけど、20分も拍手してられへんって!
 卒業式の卒業生入場シーンで拍手で迎えるけど、拍手の連続は3分が限度やで。20分も続いたなんて絶対ウソや!

 アメリカで銃による殺傷事件が年に11000件を越えるのはなんでじゃ!という疑問をいろんな人に突き付けていくんやが、これといった答えが最後まで出て来ないところが潔いかもね。

 突撃ノー・アポ・インタビューで攻めるんなら「行き行きて神軍」の方が勝ち。

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●●Movie No.99●●
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アナライズ・ユー ANALYZE THAT  ☆☆ 2003 Mar.
 あの続編。「そこそこはおもろいやろう」と思って見に行ったが、結果は「ビデオで十分やんかー!」という感じ。結局、デ・ニーロのこういう軽いタッチのコメディはビデオで見て笑って終わりでいいんでしょうネ。

 最後にNG集がオマケでついてて、ほんまに軽〜いノリでやってたんやなーと実感。監督さんが役者でもあるので、脚本も適当に「ああしよう、こうしよう」と言いながら撮ったんでしょう、きっと。たぶんそんな雰囲気やったんでしょう。

 前作ほど、お互いにアナライズしあって相手を分かり合って・・・という「ちょっと心が暖かくなる」プロセスがないぶん、犯罪モノの要素が入ってきて、どっちつかずでした。

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●●Movie No.98●●
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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン  ☆☆ 2003 Mar.
 スピルバーグ監督にデカプリオとトム・ハンクスなら、一応チェックしとかないかんでしょう。たった56日の撮影期間で撮ってしまったという軽めの映画かな?

 キャット&マウス・チェイスという「トムとジェリー」みたいなパターンがあるらしいんですが、まさしくそれです。高校生(デカプリオが高校生というのもかなり無理あるけど)が両親の離婚が原因で?小切手偽造詐欺を思い付いて?それがまんまと成功する。それを追っかける古き良き時代のFBI。

 笑いいっぱい、のほほんとした60年代らしい感じいいっぱい、当時の音楽もいっぱい。70年代になると「怒り」みたいなもんもキーワードになってくるけど、それがない時代なので、ほんとにホンワカしてます。

 父親役のクリストファー・ウォーケンがよかった。
 映画のテーマからいうと、最後にはデカプリオとトム・ハンクスの間に父と子の関係のような感情がもっと色濃く出てきてもよかったのになあ。

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●●Movie No.97●●
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ダイ・アナザー・デイ  ☆☆ 2003 Mar.
 今回のボンドガールはハル・ベリー。これが目玉!ゆう感じで期待して見に行った。「Xメン」「ソードフィッシュ」「チョコレート」古くは「エグゼクティブ・デシジョン」のスチュワーデスさん。
 ところが、キューバの海から泳いで登場するシーンがカッコ悪い。おぼれてるみたい。ゴジラが太平洋に現われるような感じ。ガクーっ。
 それでも次はカッコええやろと気分を新たに期待したけど、秘密基地みたいなとこでの銃撃戦もスカートが風でヒラ〜っとなっただけ。追い詰められて断がい絶壁から海へ飛び込むシーンももひとつカッコよくない。
 それでも期待して見てたけど、ボンドに助けられてばっかりでカッコよくない。これで続編というかハル・ベリーのキャラクター(ジンクス)だけで映画作るっちゅう話やが、無理っぽいで。期待できまへん。

 しかし、ピアース・ブロスナンは完全にハマり役。アホらしいアクションも、ンなはずないやろーっちゅう危機一髪シーンも、ドラえもんにもらったような秘密兵器も、ほんまに笑える。大笑いや。なんで見てる人、笑えへんねん!オレだけかいっ!見えない車なんてあるはずないやろー!

 もう一人の裏切り者ボンド・ガールは子どもみたいな顔してほっぺた桃色の子で、こんなヤツが女エージェントなんてできるはずないやろー!というミス・キャスト。かわいくねー!
 ミスMは「ショコラ」にも出てた演技派ジュディ・デンチだけど、いつものように赤木春恵そっくりで現れただけで笑える。

 ・・・と、いつもの007映画のノリで「こんなもんでしょう」というしかないッス。監督のリー・タマホリって何人?なんちゅう名前や!

 ところで、007の原作者イアン・フレミングなんてもうとっくの昔(60年代)に死んでるのに、なんで原作者やねん?天国からシナリオ送ってくるんかい?へんな話やなー。
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●●Movie No.96●●
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ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔  ☆☆☆☆ 2003 Feb.
 めっちゃ期待して見に行った!179分がアっという間だった!すごい!圧巻!参りました!(オール・ネタバレ注意)

 この映画、主人公がアラゴルンになっちゃてるよー!カッコよすぎー。でもホンマにカッコいぃー!!エオウィンにモーションかけられても知らーん顔。よろしい!男はそうでなくっちゃ!
 アラゴルンの恋人アルウェンは前作で、エルフの永遠の命を捨ててアラゴルンといっしょになると誓ったはずなのに、父エルロンドに「人間といっしょになったって、お前は生き残ってしまって悲しむだけよん」とか言われて悩んでたのはなぜ?まだ不死のエルフに未練あったん?そんなー!
 リブ・タイラー出番少なかったじゃん!こらー!チラっと登場してもなんであんなにボヤーっとした顔で、その上おデブちゃんに映ってるのは気に入らん!

 レゴラス、なんぼ身軽でも馬にあんな乗り方するか〜?ギムリもギャグに走り過ぎ。このへんは失笑の巻。

 カッコいい死に方をしたボロミアの弟ファラミアは話の筋が分かってないのかい?全然ダメじゃん。物語を把握してなさすぎ!イライラしたで。兄貴が旅の仲間たちの一員やってんから、弟もちょっとぐらい貢献せにゃあ〜。ジャマばっかりしてたやん。

 サルマン、弱っちいオジンになっちゃたよー!次はがんばれー!

 フロドよりサムの方が成長してるじゃん。フロドは普通のホビットになっちゃった。

 エントの木の精・・・ネバーエンディングストーリーみたい・・・。

 白のガンダルフ、もうちょっと早く来てよー。もうかなり味方やられちゃってるじゃん。しかし引き連れてきたエオメル軍、あんなにいっぱいおったの?どこから湧いてきたん?そのローハン国王のセオデン、サルマンに取り憑かれてたけど、復活してからも判断がおかしいやん。国王やったらもっとしっかりせにゃあ〜。気に入らん。

 ・・・いろいろ言いましたが、この映画はいいです!!3時間座っててもオシリ痛くないもんねー。

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●●Movie No.95●●
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戦場のピアニスト  ☆☆ 2003 Feb.
 前評判バツグン!アカデミー賞ノミネート!監督はあの巨匠ロマン・ポランスキー!とくれば、やっぱ期待して見に行くでしょう・・・。

 ドイツ兵たちのユダヤ人に対する冷酷さ、残酷さ、むちゃくちゃさは思いっきり過激に描かれています。ユダヤ人の恐怖感もひしひしと伝わってきます。ポーランド人にもユダヤを助けようという人もいたけど、ほとんどの人は無関心を装っていたというのも当然でしょう。そのへんの徹底した描写ぶりは見事。

 でも、この映画、それだけ?過酷な状況を淡々と運だけで生き抜いてきてしまったユダヤ人のピアニストがおったのよ。それだけ??えぇ〜っ??そんな話やったらテレビ番組でちょっと紹介するだけでええやん。

 これ、映画やろ?ほんなら、もうちょっとドラマチックな展開をもってこんかい!(ここからネタばらし)ドイツ将校との交流があるんなら、そこをメインにもってこんかい!そして戦争が終わった時代に、コンサート会場で再会するとかのドラマを作らんかい!離ればなれになったポーランド女性との出会いとかのエピソードで盛り上げんかい!またはドイツ軍の服を来てたためにホンマに撃たれるとかせんかい!収容所に入れられた家族はその後どうなったんか見せんかい!涙をさそうドラマがないのよー!分かってないなー、もう!客は泣きに来てるんやで。せやのにドキュメンタリー見せてどないすんねん。っていうか、ホンマのドキュメンタリーならもっと泣けるはずやで。

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●●Movie No.94●●
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レッド・ドラゴン  ☆☆☆☆ 2003 Feb.
 監督が「ラッシュアワー」「天使のくれた時間」のブレット・ラトナー?おいおい、大丈夫かい?と思って見た。けど、大丈夫だぁ〜。

 オーケストラのフルート奏者がヘタっぴで、それを聞いてたレクターさんが「む?」と首をかしげるシーンから始まる。はは〜ん、こいつ殺されて食べられるぞーという予想は誰でもピンとくる。この観客側の期待ってお決まりパターンだから監督も作りやすいよね。説明なしで入っても観客はついてくるもん。

 今回のFBIはエドワード・ノートン。犯人やらしてもオモロそうな人。クラリスよりエライんとちゃう?と思えるほどレクターの考え方にすいすいついていける。さらにおそろしい生命力。撃たれても死なん!!んなアホなー!
 FBIを引退したら自家用ヨットで遊べる程退職金がガバチョ!いいなー。

 新聞記者役のフイリップ・シーモア・ホフマンもよかった。車椅子にボンドでひっつけられて痛そー!でもレクターは食わずに火だるま攻撃だけ。これはちょっと惜しい。やっぱり食べなくちゃ!期待を裏切られた感じ。

 (ネタばれー!)犯人のレイフ・ファインズが殺人鬼には見えず実はとっても優しい人っぽいからラストで完全にダマされてしまった。目の見えない彼女にほだされて、やっぱり最後には殺すのんあきらめたのかーと納得させられてしまう演技だったのね。でも・・・そうじゃなかった・・・→こわーっ!
 レクターよりもノートンよりも、レイフ・ファインズが一番がんばってたという印象です。「羊」の犯人よりも、こういうフツーっぽい方がホントにおりそうでこわいよね。
 エンディングでクラリスがレクターに会いに来るというつなぎ方はニヤっとさせられます。「エピソード1」みたいで楽しいです。チルトンもバーニーも出てるし。

 ところが、運の悪いことに次の日テレビで「羊たちの沈黙」を見て、「なーんや、まるっきりいっしょやーん」と気がついてしまった。

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●●Movie No.93●●
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ボーン・アイデンティティー  ☆☆★ 2003 Feb.
 マット・デイモンがアクション〜?似合わんなー。トビー・マクガイヤがスパイダーマンするようなもんか〜?アクション流行か〜?

 ワルもんを暗殺に行って失敗して撃たれて記憶喪失になったボーンさん。いろんな名前のパスポート持ってたりするから「え〜?ボクって何者〜?」という話。CIAにも暗殺しそこなったワルもんからも追われてる間に自分が何者なのかだんだん分かって来ます。

 どつきあいのアクションシーンはコマ落としの手法を使ってキレよくしてますが、俳優さんの体全体を撮るんじゃなく上半身のアップとか下半身だけとかが多くて迫力に欠けます。壁をつたって行くシーンとかも不自然で「??」という感じ。

 これでマット・デイモンが女性ファンを増やした!とヨメはんは力説するけど、そうは思わんなー。やっぱりしっくり来んわ。相手の女優さんももひとつやし。
 これをトム・クルーズがやってたら・・・と思っちゃうのはオレだけ??

(ネタばらしに注意!)だいたい、暗殺に行ったら、ターゲットの子どもと奥さん見てしまって、こんなん暗殺したら可哀想やんーって思っちゃうような弱っちい殺し屋なんてダメやん!ボーンさん、使いもんにならんで。クビ、クビ!最初っからこんな甘チャンをCIAに雇ったことが「ボーンくら」やったという話でした。

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●●Movie No.92●●
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ゴースト・シップ  ☆☆★ 2003 Jan.
 かなり恐いらしい・・・という噂(テレビのCMがゆってるだけやけど)はウソだった。恐いというよりも「びっくり・ドッキリ」シーンがいくつかあるだけで、恐いホラーものという感じじゃない。
 予告編で白いドレスの女の子が「出してあげない」と美川憲一のような声でゆって、無気味にこっちをにらんでるけど、あの子は実は悪モンじゃないのよね。ほんまに予告編というのはウソの塊ですわ。こういうのは日本広告機構に訴えてもアカンのかしらねえ。

 イタリアの大豪華客船で大量殺人がおこり遭難・・・それをサルベージに向う小ちゃなタグボート。その殺人とは・・・!キャー!!恐くない!謎解きの面白さに話の重点をもっていってたらよかったのにね。

 製作のロバート・ゼメキスは「お化け」で怖がらせようという気じゃないみたい。「霊魂」というか「魂」というか、そういうものの神聖さを映像化したいんとちゃう?結局、ラストの(完全ネタばれ注意!)幽霊船が沈んでいくことで、それまで浄化されなかった魂たちが美しく光り輝きながら天へ登って行くシーンを撮りたかっただけのように思えるんやけどなあ。

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●●Movie No.91●●
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ギャング・オブ・ニューヨーク  ☆☆☆★ 2002 Dec.
 まず、「この復讐が終わったら愛に生きる」というようなレオ様とキャメロンちゃんの大恋愛モノではありませぬ。150億円という途方もない製作費を集めるためには、レオ&キャメロンというアドバルーンを挙げる必要があったのかもしれませんが、スコセッシ監督は恋愛モノのチャラチャラした部分なんかどーでもよくて、彼なりの「文明論」をブちあげたかったのでしょう。そういう映画です。

 宗教、民族、民主政治、奴隷制度、戦争、経済などなど、19世紀のアメリカが歩んだ血塗られた歴史(ホンマに3時間、血だらけ)を、マンハッタンのあの「グランド・ゼロ」地帯にあった「ファイブ・ポインツ」という場所を舞台にして、スコセッシ監督は延々と語ります、『文明vs暴力』について。
 それは、まさしく9.11のアメリカ崩壊と同じように、文明が野蛮な力によって崩壊していく様であり、そんな混沌としたカオスの中から誕生したのがニュー・ヨークという街なのだという悲観的なようで、ある意味「アメリカ讃歌」ともとれるような、そういうメッセージを感じました。

 それにしても、邦画ではありえない圧倒的な映像力というか、すみずみまで気を配って、手をぬいてない作り込み方は見事です。プロダクション・デザイナーの力かい?これって。美術の人がすごいんでしょうね、きっと。
 それと撮影というかライティングというか、光と影というか、そのメリハリ。チャイニーズレストランのシーン(京劇があったりするとこ)は圧巻でした。あの原色の衣装と暗闇の対比というか連続というか、なんであんなタッチに仕上がるの??
 さらに、移民船から降りて来た人たちと港の様子、そして徴兵されて乗船する兵隊達と船から降ろされるおびただしい数の棺桶という一連の長回しシーン。うなった。

 冒頭の暴力シーンに使われていたピーター・ガブリエルの曲とかエンディングのU2の曲とか、なんでこうもピッタリくるんじゃ?80歳を越えたエルマー・バーンスタイン(音楽)の趣味とは思えん。クレジットにロビー・ロバートソン(ザ・バンド)の名前を見つけたような気がしたけど、彼が選曲したん?違う??
 当時のNYから現代のNYへ移り変わっていくシーンとU2の音楽と、それに続く街の雑踏の音が素晴らしいので、エンディングロールの途中で席を立たないで最後まで聞いていてほしいです。

 この映画、分かるとか分からんかというもんではなく、何かを感じるかサッパリかというところで、評価が別れるでしょうね。ボクはNYが好きだから、いい点あげたいけど、ハッキリゆうて見せ場が血まみれ暴力シーンというのはどうも・・・・。
 レオの復讐もハッキリせん(いつでも殺せるのに殺さへん)し、キャメロンちゃんもどないなったんや分からんし、結局、主役はブッチャーだったのね。

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