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ここは最近買ったCDについて文句を言うコーナーです。
こういうのは完全な趣味の世界ですから、買うときの参考にはなりませんのんで、あしからず。

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ロバート・フリップ "ザ・リパーカッションズ・オブ・アンジェリック・ビヘイビア"
RIEFLIN*FRIPP*GUNN "THE REPERCUSSIONS OF ANGELIC BEHAVIOR"
 ロバート・フリップとトレイ・ガン、そしてビル・レフリン(←この人だれ?全然知らん人です。何もの?)のトリオによる「音宇宙漂流睡眠薬」です。

 クリムゾンのなんやら訳の分からん音空間とかロバート・フリップのプロジェクト系インプロビゼーションという名の催眠音が好きな人にはたまらんでしょう。

 延々とヒーヒー泣いてるフリップ翁のギターが相も変わらず変ですが、これがいいと思ったら、完全にイカれちゃう音です。

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キング・クリムゾン "レディース・オブ・ザ・ロード"
KING CRIMSON "LADIES OF THE ROAD"
 またまた出ました。自分のバンドの昔の音源を探し出してきてはマニアックに編集し直した、ロバート・フリップ御自身用CDを一般庶民にも売りつけてやろうシリーズ。

 ディスク1は71〜72年のライブ。フランクフルトのズームクラブから、最後のアースバウンド全米ツアーまでの演奏から9曲。これらは全部すでに「コレクターズ・クラブ」シリーズで発表済み。なーんだ。

 ところが、ディスク2はたったの1曲!「スキッツォイドマン」と題された「21世紀の精神異常者」のみ。いったいいつのライブでこんな長い(54分!)演奏をしたんだ?とビックリするなかれ。これはフリップ翁が、いままでの演奏のソロ部分を切って繋げて切って繋げてして1曲にしてしまったという、テクノロジーが生んだニセものの1曲なのだ。狂っている!!

 最初の歌の部分があるから「21世紀の〜」だと分かるけど、そこからは延々とダラダラと果てしなく、フリップのギターとメル・コリンズのサックスソロが聴く人の忍耐力に挑みかかってくるのだー。参りました、へへーえーえーえー。

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サンタナ "スーパーナチュラル"
SANTANA "SUPERNATURAL"
 この前の「シャーマン」が意外と思いのほか良かったんで、このグラミーとったアルバムも聞きたいなっと。いやほんま「シャーマン」は最近のお気に入りですわ。車に乗るときは必携です。運転しながら体ゆすって踊ってまっせー、オッサンでも。

 で、前作の本作(←ややこしいな)はどうかと。

 一言で言うと「シャーマン」の方がいい。アカぬけてる。こなれてる。ノリもいい。

 やってることはまるっきり同じですねん。当世流行の歌手さんをつれてきてボーカルさして、サンタナおじさんは後ろでギター弾きまくる図。これがまたいろんなアレンジで登場するんやが、全部、ピターっとハマってる。クラプトンとのブルース合戦もある。

 ところがね、さすがに久しぶりやったからか(スタジオ盤としては6、7年ぶり?)意気込みすぎたのか、ドカー!っちゅう感じが足らん。それに比べると「シャーマン」はドカーっと来よる。「アブラクサス」がLP全体を通してドカーっと来てたのとは時代がちゃうけど似てるのよね。

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デヴィッド・ボウイ "ジギー・スターダスト"
David Bowie "ZIGGY STARDUST AND THE SPIDERS FROM MARS"
 言わずと知れた70年代のトップ5には絶対にはいる名盤中の名盤。なにを今さら説明がいるでしょう。

 もともと72年にはLPを持ってたんやが、その後、ボウイを買って集めたのは私の弟なので、このLPは自動的に弟のモノとなってしまって、家にはなかったのよ。たぶん彼は「レッツダンス」までは全部持ってるんとちゃうか?
 ところが、あの「ファーイヴイーズ」とか「サッフラッゲシリー」とか「う〜ロックロースーサイ」とか時々無性に聞きたくなるのよね。で、クリスマスだし買っちゃった。

 いや〜、やっぱり全11曲、なんの無駄もない完璧なアルバムですわ。

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フィル・コリンズ "テスティファイ"
Phil Collins "TESTIFY"
 久しぶりのアルバム。ソングライティングのパワーは全然落ちてない。ボーカルも独特の情感たっぷり思い入れたっぷりで歌ってるから、案外、感動的。
 じわじわっとくるアレンジと、声のハリ方がグっとくる。聞きやすいポップミュージックのお手本みたい。
 いつもといっしょ!と言われれば、それまでですが。

 だから、ひとこと申し上げておこう。

 フィルさん、これだけの曲が書けて、これだけの歌唱力があるんなら、バックを「バンド形態」でやってもらえませんかね。
 もうシンセと打ち込み(コンピュータ・プログラミング)の音には、こっちは飽きて来てるんですよ。バンドの音で、これだけの曲を演奏してくれたら、もっと暖かい感じになっていいんじゃないッスかねえ。
 バンドの音に近いアレンジの曲と、プログラムされたバックの曲では「曲の訴えるモン」が違いまっせ、実際。
 そういう意味で1曲目は、ほんまに残念ですねん。逆にタイトル曲の「テスティファイ」なんかメッチャええ出来でしょ?

 ジェフ・ベックとかにゲストで入ってもらって、完全ロックバンド形式でアルバム作ってもイケると思うけどなあ。どやさ!

 ついつい「アップ」と比べちゃうけど、負けてるがな、フィルさん。

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U2 "ザ・ベスト・オブ・1990ー2000"
U2 "THE BEST OF 1990 - 2000"
 どっちかというと初期のU2の方が好きなんですが、これ、かなりいいです。ベストというだけあって、ほんまにどの曲もいいです。なんちゅうても声がいいです。これはさすがに売れて当然ですわ。
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サンタナ "シャーマン"
SANTANA "SHAMAN"
 誰とやっても、どこでやっても、いつやっても、カルロス・サンタナはいっつも同じです。偉大だ!

 ボーカルに最近の人をゲストに呼んで来て、曲自体もそのボーカルに合わせて作ってるから、いろんなジャンルのいろんなアレンジの曲がごちゃまぜで入ってます。かなりポップです。
 ある意味まとまりがありませんが、ある意味楽しんで聞けます。必ず出て来るのは、あのサンタナのギターです。

 こういう作り方って、昔、ジェフ・ベックが「フラッシュ」でやってたやり方で、ギタリストなんかにはもってこいの方法です。
 いろんな曲のパターンで、いつもといっしょのギターが出て来る。ファンとしては楽しめるんですよね。

 シングルになってる曲が一番よかったです。思わず踊りだしたくなる。ってゆうても、オッサンは踊らんけどね。

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フリートウッド・マック "ザ・ヴェリー・ベスト・オブ"
FLEETWOOD MAC "THE VERY BEST OF FLEETWOOD MAC"
 なにしろピーター・ガブリエルの「アップ」ショックの後やから、プログレ関係は何を聞いてもアカンやろうから、ポップ路線で気分を変えて買いました。

 しかーし、何が「ヴェリー・ベスト」じゃ!2枚組になってて、ええ曲いっぱいかー?と思ったら大間違い。
 これでは前の「ベスト」の方が格段にええ!
 パソコンに入れたらライブ映像が見れるぐらいではダメ!

 あー、やっぱり「アップ」ショックか〜?

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キング・クリムゾン "しょうがない/ハッピー・ウィズ・ホワット・ユー・ハヴ・トゥ・ビー・ハッピー・ウィズ"
KING CRIMSON "happy with what you have to be happy with"
 来年出る予定の新作「ザ・パワー・トゥ・ビリーブ」の予告編EP盤。こういうパターンは「スラック」が出る前に「ブルーム」を先行で出したのと同じ。

 しかし、「ブルーム」で新しいクリムゾンの息吹きを感じたのとは今回は違う。「なんじゃ、こりゃ。なんでブルース?」という変な曲もあったりして、期待というより不安が先に立つ。10曲目なんかタダのオマケやし。

 しかししかし、タイトル曲のギャラギャラした金属ロックはいい雰囲気だし、フリップさんのいつもの宇宙音空間も健在だし、なぜか入ってる「ラークス・タングス・イン・アスピック・パート4」がえらいまたええ演奏(めっちゃ真面目)で感動的ですらある。

 しかししかししかし、何か新しい試みってあるの?曲名がなぜか日本語(「見えかくれ」とか、「しょーがない」とか)のがあるけど、こんなの「チョット待ってくださーい」でもうやってるし、「スラック」みたいにダブルトリオでドカーっとくるわけでもないし(メンバーは4人)、わざわざ予告編を出す程のもんなんやろか?

 またもやフリップ欲ぼけジジイの策略にはまったのだろうか?

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ピーター・ガブリエル "アップ"
Peter Gabriel "UP"
 これは本年度(2002)最高傑作アルバム。

 ついにこの境地に辿り着いたと言うべきか、とうとうここまで来てしまったと言うべきか。これはジャンルを問わずロック史上に残る傑作でしょう。

 言ってみれば「スカの曲」がない。無駄なアレンジとか、無駄な音がない。研ぎすまされたというか、究極というか、もうこれ以上のものはできないし、これ以下ではもう我慢できんというレベルに達したのよ。

 まあゆうたら、スティーリー・ダンの「エイジャ」とか、ロキシー・ミュージックの「アヴァロン」とか、ピンク・フロイドの「狂気」とか、クリムゾンの「レッド」とか(・・・クリムゾンはそう簡単には言えんか)。

 これまでの「サイバー・パンク」とか「民族音楽」とか「重たいメッセージ」とか、そういうガブリエル節・ガブリエル調アレンジはほとんど変わらずにあるんだけど、ストレートにというか、いらんもんは全部排除して、スッキリと、でも、それはそれは「重たく」歌ってる。
 特に、いらん楽器のかわりに、コーラスを、人間の声を、めっちゃ効果的に使ったのがいい!これはガブリエルさんが去った後のジェネシスでフィル・コリンズがやってたこと←というのが、皮肉じゃなくホンマにええ。ひょっとして、フィルさんがアドバイスしたんか?
 打ち込みというかプログラミングで、い〜っぱい音の洪水みたいなようで、それでも洗練されてて、うるさくない。声をじゃましてない。ノイズっぽい音の壁でも美しい。
 さらに超・高音から超・低音まで、ボクのステレオなんか安モンやけど、すっごいダイナミックレンジというか、こういうのん何て言うん?音的にものすごいんです。全身どっぷり浸かれるドロドロだけど気持ちの良いお風呂みたいな感じです。

 昔っからのプログレ・ファン(私のような)が聞いても「おおー、とうとう、やりよったかー!」と涙ものの曲がずらり。あの1枚目の名曲"Here Comes the Flood"の感動を彷佛とさせてくれます。

 ただ一言文句をつけるなら、ちょっと人を寄せ付けない雰囲気がします。でも、冷たくないのよ。わかってくれる?この魅力!!

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